作品解説
彩美版(R)
複製画
文化勲章受章 上村松篁
筆『野月』
監修
上村淳之/原画所蔵 古川美術館
遠い記憶を呼び覚ます秋の野の情景
「本図は松篁が描く秋の野の情景です。ここに見られる銀の月光と秋草は、平安以来日本人に愛でられてきた取り合わせです。時としてどこか遠い記憶を呼び覚ますような銀は、追憶の色として好まれてきました。しかし、日本画の伝統である余白の美を追い求めた松篁は、ここで銀よりも透明な光りを放つプラチナ箔を用い、より澄み切った秋の空気と月のさやけきを強く印象づけています。その光りに照らされて、風に揺れる桔梗とススキの葉。桔梗の葉茎の墨の滲みやぼかしで端正に描かれており、対照的に花は青紫と白でくっきりと彩られています。そこには派手さはなくとも凛とした情趣が溢れ、桔梗の美しさを際立たせます。」
(古川美術館解説文より抜粋)
松篁画伯が生涯追い求めた“余白の美”を存分に味わえる逸品親子二代にわたり文化勲章を受章し、日本画壇の重鎮としてご活躍された上村松篁画伯。伝統的な写実をもとに、現代花鳥画と呼ぶにふさわしい日本画の新基軸を確立されました。
ご案内の『野月』は、自然に対する深い愛情が、美しくも緻密な筆致で描かれた格調高い名作です。銀色の光りを放つ月と、ススキや桔梗などの秋草が、画伯ならではの絶妙な空間構成で配され、見事な“余白の美”を生み出し、昔から日本人がもつ美意識と重なり、どこか懐かしい心の奥底にある記憶を呼び覚ましてくれます。
このたび、上村淳之画伯監修のもと、共同印刷(株)の最新技術により原画のもつ絵の鼓動まで忠実に再現。銀色に輝く月光には箔貼りを施し、澄み切った空気までも感じ取っていただけます。
額装は上品で落ち着いた雰囲気の木製金泥仕上げ。画面、マット、額縁が美しくまとまり、作品の魅力を一層ひきたたせています。ぜひこの機会にご所蔵いただき、お手元で心ゆくまでご鑑賞くださいますようおすすめいたします。特別許可により限定制作200部のみ。
所蔵先である古川美術館の正式認可を受け、上村淳之画伯監修のもと制作されました。額裏には限定番号の入った奥付シールが貼付されます。 |
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彩美版(R)とは
『原画のもつ微妙なニュアンスや作家の筆遣いといった 絵の鼓動までも忠実に表現。』
画材の質感と豊かな色調。共同印刷の「彩美版(R)」複製画は、“絵のいのち”ともいえるそれらの要素を十分に表現するために生み出された、画期的な技法により制作しております。最新の画像処理技術と高精度プリントに、職人の手作業(工芸技法)を加えた新時代の複製技法です。 |
作品詳細情報
品番 |
AR-UK17 |
作品名 |
野月(のづき)限定数/200部 |
作家名 |
上村松篁 |
技法 |
彩美版(R)シルクスクリーン・箔貼り |
用紙 |
版画用紙 |
額縁 |
木製金泥仕上げ、アクリル付き、クロス貼りタトウ入り |
画寸 |
縦39.2cm×横52.2cm |
額寸 |
縦60.3cm×横73.3cm |
重量 |
(約)4.2kg |
付属品 |
黄布袋・吊金具・紐付き ■監修/上村淳之 ■解説/古川美術館 ■原画所蔵/古川美術館 ■発行/共同印刷株式会社 |
納期 |
受付後3週間前後 |
作家プロフィール
1902年 美人画の巨匠・上村松園の長男として京都に生れる
1921年 第3回帝展に初入選
1928年
第9回帝展にて「蓮池群鴦図」が特選となる
1930年 京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)研究科を卒業
1933年
帝展無監査となる
1949年 京都市立美術専門学校教授となる
1953年
「春」が外務省買い上げとなり、ユーゴスラヴィア連邦共和国に寄贈される。京都市立美術大学教授となる
1967年
「樹下幽禽」に対して、日本芸術院賞が授与される
1968年 新宮殿千草の間に、宮内庁御用画「日本の花・日本の鳥」を制作
1981年
日本芸術会員に推挙される
1983年 文化功労者として顕彰される
1984年 文化勲章を受章
2001年 逝去。享年98歳